


マンションには必ず区分所有法という法律にそって作られた管理規約があります。
その内容はマンションによって異なりますが、個人でリフォームできる範囲については概ね同じで、おそらく「専有部分に限る」と記載されていることでしょう。
では「個人の専有部分」とはどこでしょう?
基本的には住戸の内側にあたる部分で、玄関や居室、住宅設備機器(キッチン、トイレ等)は専有部分になります。
とすると「各戸で使用しているものは全て専有部分なのね」と思われがちですが、「窓サッシ」「玄関ドア」「ベランダ」は専用使用が認められていても「共用部分」となります。
つまり「建物としての外観に影響をあたえる個所」は、個人でリフォームができないのです。
(ただし窓ガラスの交換や玄関ドアの室内側の塗り替えは可能です。また指定された部材になら交換できる場合もあります。)
規約に反して工事を行うと、工事の停止や現状回復が求められる場合がありますので、必ずリフォーム前に管理規約を確認しましょう。

間取りを変えたいというご希望のお持ちでしたら、まずマンションの構造を確認する必要があります。
マンションには、大きく分けて「柱と梁で建物を支える構造(ラーメン構造)」と「壁と床でできた箱型で建物を支える構造(壁式構造)」の2種類があります。
ラーメン構造の場合は間仕切り壁の位置を変えられるので間取りの変更が可能ですが、壁式構造の場合は難しいことが多いでしょう。
基本的に「コンクリートで出来ている壁・柱・梁には手を入れられない」とお考えください。
水廻りの移動においては「配管が動かせるか」がポイントになります。配管が階下の天井裏を通っておらず、また床下に十分な空間があれば、ご希望の位置に動かせるかもしれません。 (※トイレの位置は移動できない場合が殆どです) ただし、マンションによっては管理規約で水廻りの位置変更が禁止されていることがありますので、よく確認してから計画を立てられることをお勧めします。
また、管理規約の使用細則では、フローリングの可不可(可の場合は床材の防音性能)など、マンションのリフォームに関する様々な取り決めが書かれています。 工事の承認方法などのルールも記載されているはずですので、必ず目を通しましょう。

リフォームにともなって「キッチンをIHにしたい」「床暖房にしたい」「エアコンを増設したい」など、いろいろな設備を追加するプランを描かれることと思います。
ここで気をつけなくてはいけないのは、「電気容量の上限」です。 古いマンションの場合、電気の契約容量が30アンペアのことが少なくありません。 様々な電化製品が増えた昨今では、快適に暮らすには40アンペア以上が必要、IHクッキングヒーターや電気床暖房、食洗機なども使いたいなら、できれば60アンペアは必要とされています。 何かの電気製品を使うたびにブレーカーが落ちていては、暮らしづらいですよね。
マンションの場合、それぞれの住戸の電気容量の上限が決まっています。その上限までは電力会社に申し込めば上げられますが、それ以上はできません。 「自分の家だけなら大丈夫だよね…」という甘い考えで上限以上に上げ、建物のもつ電力幹線の限度を超えてしまうと、建物全体が停電になってしまったり、最悪の場合はマンションの周辺地域全てが停電になってしまいます。 各戸の電気容量の上限については、管理規約などに記載されていますが、念のためにマンションの管理会社に直接問い合わせするようにしましょう。

大まかにリフォームのプランが決まったら、マンションの管理組合や管理会社に確認しましょう。 管理規約や使用細則を確認して立てたプランでも、何か問題点があるかもしれません。 リフォーム工事の契約をしてしまってからではプランの見直しが難しくなる場合もありますので、必ず事前に確認しましょう。
また、マンションによっては管理組合からリフォーム工事の承認がでるまで時間がかかることがあります。実際にリフォームを行うまでの手順を具体的に確認しておくとその後の流れがスムーズになります。

戸建の場合ももちろんですが、マンションのリフォームでは近隣へご挨拶が重要です。 突然工事音が響いてきたり工事関係者の出入りが増えれば、余り良い気持ちはしませんよね。 リフォーム後もご近所との関係を良好に保つために、少なくとも両隣、上下階とその両隣の計8戸には事前にお伺いして、工事の日程や時間についてお知らせしておきましょう。
その時に「工事の音が出ること」「塗装の匂いがするかもしれないこと」「ホコリが出ること」の説明をするほか、「工事器具や材料の搬入にエレベーターを使うこと」「材料が廊下などに置かれる可能性があること」 「工事関係の車両が駐車すること」などもお伝えしておくと、後々のトラブルになりにくくなります。 また、近隣でなくとも材料の搬入や人通りが増える廊下や階段に面した部屋にお住まいの方にも一声かけておくと良いでしょう。
リフォーム会社の工事担当者が工事着工前に近隣へのご挨拶と説明をしますが、やはり住まわれる方から先に、直接お話しされたほうが、近隣の方の印象はよいものに。 その際「ご質問などは直接工事担当者に」と一言添えていただければ、お互いに気持ちの負担が軽くなりますよ。

マンションは建てられた年代によって設備にかかわる配管・排気の方法がさまざまです。
安全に工事を進めるためには交換する機器の性能が現在使っている機器の性能を越えないことが望ましく、その方法が分かってはじめて交換可能な機器の機種が選択できるようになります。
配管・排気の方法や経路はマンションの竣工図面で確認できます。
マンションによっては図面の貸し出しに手続きが必要な場合もありますので、事前に管理室に問い合わせておくと安心です。
マンションのリフォームは戸建と異なる、様々な制約があります。 それは壁の材料や配管の位置など建物の構造からくるものだけでなく、建物で定められた規約による制限もありますので、自己所有であっても変わりません。 知らずに違反してしまうと大きなトラブルの原因となることもあるので、注意が必要です。
ここではマンションのリフォームを計画する前に確認しておきたいポイントをご紹介します。 また、スムーズにリフォームを進めるために必要な準備についてもご紹介しますので、ぜひご一読ください。