ピアニストの方、指導者の方が防音室の中でピアノの演奏をこころゆくまで楽しむためには、音の響きも大変重要になってきます。それはピアノの倍音が豊かでしかも複雑であることに関係します。
響きが重要になる理由の1つは、防音室の中はピアノの音を外に出さない代わりに外の雑音も防音室の中に入らないようになり、普通の部屋でピアノを弾く以上に音の響きに対して敏感になるからです。 (たとえば普通なら気にならない、ちょっとした楽器から発する雑音も気になったりします)
もう一つの理由として、防音室が高い遮音性能であればあるほど、遮音した音が部屋内に跳ね返り、そのままではピア二ストの方、指導者の方にとっては響きすぎる防音室になってしまいます。
その一方で、楽器の特性を無視して防音室の吸音をしすぎると今度は響きが失われ過ぎ、演奏がしにくく音も物足りないものになることもあります。
つまり、単に防音ができていればOKということではなく、防音には”適切な遮音性能による適切な音の響き”このことが表裏一体となって防音をおこなうことが重要と言えます。
ピアニストの方やピアノ指導者の方が防音室を作られる場合、「ピアノを2台入れたいけど」や「6畳を防音してピアノとエレクトーンを一緒に入れたいけど」という防音室の大きさについてのご質問をよくいただきます。
まず、ヤマハ防音室(アビテックスフリーシリーズ)の中でグランドピアノ(ヤマハC3タイプ奥行き186cm)を2台並べて弾くには、防音室を入れる部屋は10畳近い広さが必要です。それは、防音室の壁の厚さと家の壁との間の空気層を含めたおよそ13cmがお部屋の全周にわたって必要だからです。
また、グランドピアノ(ヤマハC3タイプ奥行き186cm)とヤマハエレクトーンステージアが1つの防音室に入るためには、防音室を入れる部屋の大きさが7畳程度必要です。
但しグランドピアノがヤマハのC1やA1などの小型のものの場合は、設置を工夫すれば6畳のお部屋を防音しても入れられるケースがあります。
防音の遮音性能を少し緩めたり、また逆に少し遮音性能を強くしたりすることは実は非常に難しいことです。
特に床・壁・天井に直接遮音材を取り付ける形式の遮音構造では遮音性能を少し弱くする、少し強くするということが非常に困難な場合が多く、なかなか目的の遮音性能を実現しにくいという現実があります。
ヤマハの防音室は、まず単体の遮音性能を実験室で検証したものを、施工・納品する考え方を採用しています。
趣味でピアノをお弾きになる方の中には、「ちょっとした防音でいいのだけれども…」と、窓やドアだけ防音をされる方がいらっしゃいますが、なかなか思ったような遮音性能が得られないことが多々あります。
これは、音が四方八方に広がっていくことが原因として考えられます。例えば集合住宅で階下の方に対して防音したい場合、マンションの床だけ厚くして防音対策をしただけでは思ったような遮音効果は得られません。壁や天井から抜けていった音が、今度は「主役」になり階下に聞こえてしまうことが原因です。
上の階の方に対して天井だけを防音したり、お隣りの方に対して壁だけ防音対策を行っても思ったような効果がなかなか得られないことも、同じ理由です。
趣味でピアノを弾かれる方にとっては、お部屋いっぱいに防音室を作ることより定型サイズのもの(ヤマハ防音室のアビテックスユニットシリーズセフィーネIIEVルームタイプ)の方が適するケースが多くあります。その理由として、防音室の遮音性能がはっきりしていること、自由設計でお部屋いっぱいに防音室を作るより安くできること、また移転や防音室がいらなくなっても移動や撤去が容易にできることなどが挙げられます。
最近は防音室内にパソコンを入れてDTMもできる部屋としたり、防音室の中にホームシアターを入れて楽しんだりと、ピアノを弾く以外の用途でも防音室を使う方が多くいらっしゃいます。
そのような方には定型サイズで簡単組立てタイプのヤマハ防音室のアビテックスユニットシリーズセフィーネ II イーブイ ルームタイプがおすすめです。
お子様のピアノを購入される際、近頃は半数以上のピアノにサイレント機構が付いていると思います。
しかし、サイレント機構が付いているにもかかわらず、後で防音室を設置される方も多いです。
サイレントピアノをご利用の多くの方は「日中は生音で、夜はサイレント機能を使って音を電子音にして」という使い方をされていると思いますが、日中に生音でピアノを弾いている時に苦情が来てしまい、それ以降ずっとサイレントでしかピアノの練習ができなくなったというケースが多いからです。
サイレント機構は生のピアノのタッチを生かしてはいますが100%同じではありませんので、例えば発表会前や曲の仕上げではどうしても生音での練習が欠かせなくなる時、防音室を入れて生音で気兼ねなくピアノを弾きたくなります。
また、ピアノをサイレント機構にして弾いても、指の鍵盤への落下音は残りますので、その「コトコト」という鍵盤への指の落下音がかえってピアノの音より隣家の方にとって気になってしまい、サイレント機構が付いているにもかかわらず防音をせざるを得なくなったというケースもあります。
防音室の中は、ピアノの音を外に出さない代わりに外の雑音も防音室の中に入らないようになります。
そのため、防音室の中の音の響きは普通のお部屋でピアノを弾く以上に大事になってきます。
その防音室の中の響きにはポイントがいくつかあります。
それは響きが多い方から少ない方に響きを少なくすることは比較的容易ですが、響きが少ないお部屋を響きを多くすることは比較的に難しい、ということです。また、一般的に防音室を設置した時よりも使い始めると楽譜棚や小物など防音室内には物が増えてきますので、音が乱反射することが多くなり必然的にキンキンした音は少なくなって耳に聞こえやすい音の響きの方向に行くということもあります。
そのため、防音室を作る時には完成した時点でピアノを弾いてみた時には「やや響きあり」程度の音の方が後々良い結果になることが多くあります。
また、ヤマハ防音室のアビテックスユニットシリーズでは壁に取り付けるタイプのパネル(F調音パネル、F吸音パネル)で音の響きをパネルの枚数で調整できます。
もちろん自由設計のヤマハ防音室フリーシリーズでもそのようなことができます。しかし共通しているのは「やや響きあり」から出発することが防音室内の音の響きが良くなる第一歩だということです。
音大を目指している方がグランドピアノを練習している時、少しでも音を小さくしようとグランドピアノの譜面台の部分の蓋も閉め譜面台をその上に置いて、しかもグランドピアノ全体にオールカバーもかけて音をできるだけ外に出さないようにして防音室を入れないで練習している方が時々いらっしゃいました。
しかし、そのようにしているピアノに限って、ピアノの弦が切れたり、ピアノの部品が早く消耗してしまいます。
そのようにしたピアノはマスクをして声の発生練習をするようなもので、ピアノを弾く人は知らず知らずの内にどうしても力を入れてしまいます。それはピアノを弾く人にとってもタッチが荒くなり、ピアノも必要以上のダメージを受けてしまいます。同じことがピアノの響板に取り付けて音を小さくするタイプのアタッチメントにも言えます。
また、防音室の中でピアノを弾くことはピアノにとっても正常な状態で発音できますので、ピアノに無理な負担をかけることがありません。
防音室の中が普通の部屋より静かなことから、必要以上の力がいらなくタッチが荒くならないというメリットの他に、小さな演奏のミスもはっきり聞こえるので良い練習になります。
音大受験生、または音大生の方々は特に、楽譜やCDが増える一方です。
従って防音室自体の大きさも楽譜やCDなどの音楽メディアの収納も考えて計画することが必要です。
楽譜棚を防音室内にアレンジしてみては如何ですか。楽譜棚を吊り戸棚にして空間を上手く使う方法もあります。
また楽譜棚、本棚は防音室内の音の響きにも良い効果をもたらします。
本や楽譜、また棚そのものが音を乱反射または吸音効果を発揮しますので、さらに防音室の中のピアノの音の響きが良くなるケースが多くあります。
