ピアノのコラム~グランドピアノ編

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ピアノのコラム ~ ピアノのコラム ~

楽器の王様といわれる「ピアノ」。

ピアノとひとくちに言っても、グランドピアノ・アップライトピアノ・電子ピアノ…と色々ありますね。
お使いになるお客様の用途や目的、ご希望に応じて、それぞれおすすめする内容も違って参ります。 

宮地楽器 ららぽーと立川立飛店 鍵盤楽器担当によるこのコラムが皆様のピアノ購入のご検討に際して、少しでも参考になれば幸いです。

  

「なぜグランドピアノがオススメ?」

「本来のピアノとはグランドピアノのことであり、アップライトピアノはスペースの都合を優先して改良されたものであるから」ということに尽きます。 

クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ

 

ピアノの原型が作られたのは今から300年以上も前。1709年イタリア・フィレンツェにてバルトロメオ・クリストフォリという製作家が、鳥の羽軸で作られた爪で弦をはじいて鳴らすチェンバロの音量や音の強弱、音色の変化に乏しいことを不満に思い、ハンマーで弦を打って鳴らすというメカニズムを発明したことがきっかけです。

 

このメカニズムを備えた楽器が、現在のピアノの原型で「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ<弱音も強音も出せるチェンバロ>」と名付けられ、この名称が短くなって“ピアノ”と呼ばれるようになったのです。

上の図はクリストフォリの手による「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」。 はじめてのピアノは、このように現代のグランドピアノのような形だったのです。

ジラフピアノ
現在、多くのご家庭にあるピアノといえばアップライトピアノ。

初のアップライトピアノがいつ誕生したのか、正確にはわかりませんが、19世紀に入りピアノが徐々に一般的なものとなる中で、スペースの都合から作られるようになったようです。

当時のヨーロッパでは、グランドピアノをそのまま立てたような形で、とても背の高いジラフピアノ(キリンピアノ)と呼ばれるようなピアノが作られていました。横面から立面にスペースが移行したわけです。

 1800年にはアメリカ・フィラデルフィアのジョン・アイザック・ホーキンズが、現在のアップライトピアノに近い形のピアノを製作しました。当時も今もスペースは貴重ですから、ホーキンズにより改良されたアップライトピアノは 場所をとらないという利点から、幅広く普及するようになったのです。この改良によりスペース効率が上がり、ピアノ全般が幅広く普及したわけですから、非常に有意義なことなのですが、それにより本来のピアノが持っているべき機能を損なうことになってしまったという事実がございます。

同音連打での鍵盤操作性、音量・音色・ダイナミックレンジ・音の減衰等々、様々な表現力の差が例として挙げられますが、これについては文章にするのは大変なことでもありますので、是非ご来店を頂き、その違いをご理解頂けますようにご説明をさせて頂ければ幸いです。

 

「グランドピアノを置けるスペースは無いから」
「床を補強しないと」「音が大きいのでは」

昔も今もスペースは貴重であることに変わりありません。
グランドピアノというだけで、「ものすごく大きいから無理・・」と いうお声が聞こえてきそうですが、現代のピアノも時代の要請に応えて様々な改良がされており、昨今では非常にコンパクトサイズのグランドピアノが各社から発売されています。

アップライトピアノのサイズは、間口約150cm・奥行61~65cm程度が一般的ですが、コンパクトサイズのグランド ピアノには間口・奥行ともに150cm程度といったものもあり、びっくりするほど大きいというわけでもないのです。 通常、ご家庭でグランドピアノを置かれる際に必要とされるスペースは 3畳程です。

「でも重いでしょ…」 重量に関して心配されるお客様が多いことも事実です。 アップライトピアノの重量は250kg程度、グランドはタイプにより異なりますが一般的なヤマハC3型で320kg程度。 アップライトは畳一畳分にかかる重量ですが、グランドの場合は3本の脚で重量が分散されますので、実際に 床にかかる荷重はグランドピアノの方が少ないと言われています。

また音量に関しても、アップライトとグランドでは大差は無いとお考え頂いて大丈夫です。グランドでもアップライトでもピアノをお部屋に置くからには、当然、ある程度のスペースを要するわけですから、「グランドピアノに出来てアップライトピアノには出来ない事」を充分にご理解の上、どういった目的で購入するのか じっくりとご検討頂ければと思います。

ご参考まで、以下はヤマハグランドピアノのサイズ別ラインナップです。

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「専門家にするつもりはないから…」

その昔、グランドピアノを購入されるお客様で最も多かったのは音大生でした。
1989年の消費税導入以前は、ピアノ購入には物品税という税金がかかりましたが、音楽大学在学中はこの税金に関しての免税特典があったからだと思われます。消費税導入後は物品税自体が廃止となりましたので、この免税特典もなくなり、いつ買っても条件は 一緒ということになりました。現在、グランドピアノを購入される層で多いのは、小学生から中学生のお子様用として、また大人の方の趣味層での購入も目だっています。

過去の日本では、ピアノは教育のお道具、グランドピアノと言えば専門家になるための道具という捉え方になっていたことと容易に想像できるのですが、現在はその捉え方にも変化が生じて来ているものと思われます。

 

「音を楽しむ」事が音楽であり、「楽しむ為の器」が楽器です。

ピアノという楽器をより楽しんで頂くために、その特性を充分にご理解頂き、お客様のご希望に最も適したピアノはどういったピアノなのか・・という考え方でお選び頂けるのが一番だと考えます。

 

「弘法筆を択ばず」

弘法大師は筆の良し悪しを問題にしない。
真に一芸に長じた人はどんな道具を使っても立派な仕事をする例え。

余談ではありますが、グランドピアノをおすすめする文章を書いていて、ふとこの言葉が思い浮かびました。

どんなに一流のピアニストでも、コンサート会場に自分の楽器を持ち運んだりすることは簡単には出来ませんので、 たいていはその会場にあるピアノで、最大限に自分を表現するしかありません。自分がどのようなコンディションであっても、また会場にあるピアノのコンディションがどうであっても、立派に自分を表現する事が出来るからこそ一流のピアニストなのでしょう。

一流といわれる方々は、日頃並々ならぬ努力をされていらっしゃることと思いますが、その日頃の努力の中で 本当に良いもの・目指すものは何かをよくよく理解しているからこそ、一芸に長じた人と称されるのであり、 またそうなるまでにはそれなりの環境と理解者があったからこそ今日があるのでしょう。

 

「道具へのこだわり」

同じ機能を持った商品の中でも、高額なものから安価なものまでたくさんの商品があります。
それらの価格差があるのは、それなりの理由があってからこそだと思います。弘法大師であればそれらの理由から来る良し悪しは問題にしないということになるのでしょうが、全てにおいてあてはまるとは思いません。

道具の良し悪しは当然結果に現れるものだと思いますから。あるレベルに到達している方は、道具に不備があっても最低限の仕事が出来るということだと考えます。

専門家においてはもちろんのことですが、そうでない方でも道具にこだわりを持つことで良い結果を招くことは あって然るべきだと思いますし、それを実感されているお客様も多いのではないでしょうか。

おいしい料理を作るために良い包丁を使う・食材を吟味する、書き味に優れた万年筆を使う、ハイスペックの パソコン、デジタル一眼レフカメラ、こだわりを追求していくことから生まれる結果は使う人にとって格別なものでしょう。

グランドピアノのおすすめといったことで書き進めてまいりましたが、同じピアノと呼ばれるものでも様々な違いがあり、 その違いをご理解頂く為に、私どもは精一杯のご説明・ご提案をさせて頂く所存でございます。 充分にご理解を頂いた上で、お客様にとって最適な選択・ご判断を頂きたいと思います。

 

皆様のご来店をスタッフ一同、心よりお待ち致しております。