去るゴールデンウィーク、4/29~5/7まで開催されました宮地楽器創業100周年記念弦楽器フェアは、無事に終了致しました。
多くの方にご来場、ご利用いただき、スタッフ一同感謝申し上げます。
ここで、期間中開催された数々のイベントについて少し様子をご紹介してみましょう。
セール初日にあたる4/29は、クレモナで活躍する若手製作家、西村翔太郎さんによる講演でした。チェロの製作を得意とする西村さんならではの、分かりやすく的確な歴史の説明に、来場者からは賞賛の声が聞かれました。ヴァイオリンの発達の歴史とは少し違うというのも意外ですね。
講演中の演奏を担当したのは、宮地楽器講師の井崎瑛恵さん。チェロの進化とともに、時代を追って名曲を披露して下さいました。
連休の真ん中、5/5のこどもの日に開催されたのは、クレモナで活躍する超実力派、高橋明さんによるイベント。なんと、有名製作家自ら小学生向けに台本を書きおろしてくださったのです。(この表紙画も、高橋氏によるものです。)
舞台上から優しく子供たちに語りかける高橋氏。子供たちにヴァイオリンの秘密を教えてくれるはずのヴァイオリン博士が、ゴールデンウィークの渋滞に巻き込まれて遅刻しているという設定です。
博士の到着まで、演奏担当の佐々木講師によって間を持たせるということになりました。
演奏後、ヴァイオリン博士が到着。もちろん、高橋氏が変装したわけですが。。。。。
ヴァイオリン博士、佐々木講師を助手に従え、音に関する様々な実験を行っていきます。ただの板きれに弦を張っても、音は出るのか?
ヴァイオリンの材料についても詳しく説明。
そして、表板の隆起削りを実践。
さらには、ヴァイオリンの内部を説明するために、こんな実物まで用意。(博士が前日にノコギリで切ったものです)
魂柱の役割を説明します。
ヴァイオリンに少し力を加えるだけで、魂柱は倒れてしまいます。
博士、なんと子供たちへのプレゼントまで用意していました。
最後には正体を明かします。
連休最終日にしてセール最終日に登場したのは、世界的弦楽器製作家の菊田浩さん。(右端)
菊田氏の作品だけを使用したカルテット主体のコンサート。同一の製作家の作品だけを使用したコンサートは、貴重な機会です。
小金井店の展示品である2011年製のヴァイオリンでソロを披露する、菅野志帆講師。透明感に満ちた音色で、フランクのソナタを演奏しました。
2006年製のヴィオラを演奏する宮下恵久子講師。ラフマニノフのヴォカリーズを情感豊かに表現します。
現在のところ、菊田氏の唯一のチェロとなっている作品を弾く永瀬惟講師。美しい高音が必要とされる、フォーレの『夢のあとに』です。
ソロの最後は、松永真理子講師。以前、小金井店に見本品として展示していた2005年製で、チャルダッシュを自在に演奏しました。
後半は、最新作である2017年製を交えてのヴァイオリンの音色比べからスタート。
松永講師の演奏に、観客席からも様々なリアクションが飛び出します。
2005年製と2011年製を用いた、バッハの2つのヴァイオリンのための協奏曲。性格の異なる2本が、互いの個性を主張し合うかのように演奏は進み、やがて調和していきます。
メインプログラムは、ボロディンの四重奏。同じ工房で生まれた4本が、美しいノクターンの旋律の中に調和を生み出していきます。
終演後の記念写真。長いようで短かった今年のゴールデンウィークも終わりました。
もしも宮地楽器が今から100年後に、創業200年祭を開催することができれば、、、、、、
その時は100歳を超えたこれらの作品で、もう一度コンサートを開催してほしいものです。私たちの遠い後輩の手によって。
今回のイベントでは、本当に多くの方々にご協力をいただきました。何より、ゴールデンウィークであるにもかかわらず多くのお客様にご来場いただきましたことに、心から感謝しております。
私たちも心新たに、次の100年に向けて歩んでいきたいと思います。
<小金井店 店長 山本岳志>