音楽のある毎日 宮地楽器

Music in life vol.32 スペシャルインタビュー

宮地楽器音楽教室開設50周年
記念企画のご案内
千住真理子 & 横山幸雄 デュオリサイタル
~きっと、音楽は見えてくる~ に寄せて

出演の千住真理子さん、横山幸雄さんは2014年頃からデュオリサイタルを
年に2、3回のペースで行っていらっしゃいます。
この夢の共演が宮地楽器音楽教室開設50周年となる
2019年に八王子で叶うことになりました!
今回の聴きどころなどをお二人にうかがいました。

横山さんはピアノで自身の音を作り出すことができる数少ないピアニストです。
音楽を立体的にとらえて音を作り出し、即興的に展開させていく…。
横山さんとの演奏は絵画を描くよう。
一つの作品を作り上げていくかのように、音楽が見えてくるんです。

今回、シャコンヌのヴァイオリンとピアノバージョンを同時に聴けるのは、バッハの奥深さを再認識していただけるという意味でもまたとないプログラムだと思います。
私はデュオと無伴奏で小品からソナタまでを演奏しますので、それぞれの音の出し方の違いもお楽しみいただけたらと思います。
クロイツェルでは交響曲のようなボリューム感を、無伴奏では独特の静寂な世界を感じてみてください。 ヴァイオリニスト 千住真理子

縁の下の力持ち的な役割で弾くピアノが好きです。
なかでもデュオやアンサンブルは、相手のよい部分を引き出したり共演者と音楽を作り上げることに幸福を感じます。

実はヴァイオリンという楽器がとても好きで子どもの頃はよく、レコードでハイフェッツを聴いていました。
ピアノは音を出した瞬間にすべて決まってしまいあとは楽器任せでしょう?
ビブラートをかけたり、音色を自在に変えられるヴァイオリンが本当にうらやましい!!

今回は、バッハのシャコンヌを千住さんと私がそれぞれ弾きます。
原曲とピアノ用に編曲したものはどこが同じでどこが違うのか、耳を澄ましてみてください。
デュオの最終曲、ベートーヴェンのクロイツェルは、ヴァイオリンソナタ史上初めてヴァイオリンとピアノ、どちらもメインで対等となった作品。
交響曲「運命」や「英雄」、ピアノソナタ「ヴァルトシュタイン」や「熱情」など、エネルギッシュでドラマチックな作品を生んだ中期に書かれたヴァイオリンソナタの最高傑作を存分にお楽しみください。 ピアニスト 横山幸雄

千住真理子さん、横山幸雄さんインタビュー

来年4月の音楽教室開設50周年記念企画リサイタルにご出演のお二人から、
ピアノやヴァイオリンの生徒さんにメッセージをいただきました。

音楽は人と人を結びつける媒介。
私が弾く音楽は、常に人のためにあると思っています

運命的ともいえるストラディヴァリウス”デュランティ“との出会いから16年になるのですね。
デュランティとの関係はときどきで変わってきましたが、今は弾くのが楽しくてしょうがないです。最初はコントロールが難しくて、じゃじゃ馬ならしのようでしたけどね(笑)。
出会った楽器が自分のパートナーだと思います。良い部分をいかにして出してあげるかということに集中すればよい結果につながると信じて、日々研究しています。
千住さんは今年でデビュー43年目。今、届けたい音楽は?
音楽は音符じゃいけない、音楽でなくちゃいけないということを思いながら弾いています。
自分の「地」の声をヴァイオリンの音にし、本当の思いがそこに乗っかったときに、聴く人が共感してくれる音楽になるのだと思うのです。

20歳頃、挫折してヴァイオリンから離れたとき、音楽が私を救ってくれることはありませんでした。助けてくれたのは、ボランティアで出向いた先でおじいさんが言ってくれた「ありがとう」の一言です。
音楽は人と人を結びつける媒介であって、自分が弾く音楽は、常に人のためにあると思っています。
宮地楽器のヴァイオリンの生徒さん、レッスン中のお子さんを見守る親御さんにメッセージを。
音程をとって何度も何度も練習してちゃんと弾くことと同時に、曲からイメージすることを習慣にし、“思い”を入れることを意識して弾いてください。
人の気持ちがわかり、一緒に喜んだり悲しんだりする心があれば、ヴァイオリンでも喜びや悲しい思いを出せると思いますよ。

私の母は乗せ上手で、弾きたい!と思わせてくれました。次兄(明さん)は学生時代やんちゃな時期もあったのですけど、母はこっそり、「あなたは素晴らしい」と励ましていました。
3人の子の性格に合った奮起する言葉をかけてくれたんです。
母の信頼があったからこそ、兄は悔しさをバネに作曲で才能を発揮できたし、私もヴァイオリンを嫌いになったことは一度もありません。
どんなときでも我が子の味方でいてくれた母にとても感謝しています。

ピアノは、一生かけても余りある喜びを
与えてくれる楽器だと思います

16歳でパリ音楽院に留学し、19歳でショパン国際コンクールに入賞。
40歳のときにはショパンのピアノ曲全212曲を約18時間かけて暗譜で演奏し、ギネスにも認定されました。
横山さんにとってショパンは特別な作曲家ですか。
僕にとってもそうですし、すべてのピアノ愛好者にとってショパンは、ピアノの表現の可能性を広げてくれた作曲家だと思います。
ショパンの曲って、知られていない曲を聴いても初めて出会った気がしないでしょう?
奥深いのに人を撥ねつけるような難しさはなく、弾くことでより作曲家に近づけるのは比類なき魅力だと思います。
全曲演奏のきっかけは?
大好きなショパンになりきるにはそれが大前提だろうと、20代のときに年に2回、7年かけて全曲演奏し、その後も7~8日間で全曲を弾く演奏会などを行いました。
1日で全曲演奏を考えたのは、2005年にベートーヴェンの全ピアノコンチェルト演奏会でそのメリットを体験したことから。
奏者も聴者も疲れてしまうと思いきや、「いつもは緊張がほぐれた頃に終演となり一抹の淋しさが残るけれど、むしろリラックスできた」という声が聞けたのです。
同じ目的をもった人が、同じ空間で長い時間を共有できたことがとても幸せでした。
やってみて変化はありましたか。
ショパンが生きた楽譜の複製も録音もなかった時代は、昔つくった自身の曲を忘れてしまうこともあったはず。
ですから全曲弾いてみると、本人よりショパンを知っているような、そんな気持ちになりました。
病に蝕まれた悲痛な時期にも明朗な曲があり、ジョルジュ・サンドとの愛の時代にも悲愴な曲がある…人生の光と影の中でショパンがいかに成長していったかを作品を通して深く感じとることができました。
宮地楽器のピアノの生徒さんにメッセージを。
音楽の素晴らしさを日常的に感じられるのは、とても素敵なこと。
ピアノは弾く体勢が自然で年齢にやさしいですし、良いピアノさえあれば美しい音が出る。一生かかっても弾ききれないぐらい名曲があり、何度食べてもおいしい魅力があると思います。

子どもたちは、「楽しいから努力する」「努力したから楽しい」の両方を実感してほしい。そのためには目標をもつことが大事です。

僕の場合はレコードで聴いていたリヒテルやルービンシュタインが原点です。
演奏を聴いて感動した経験が原点になるので、ぜひコンサートへ出かけて生の演奏を聴いてください。僕も演奏会ではたびたび熟睡していましたけどね(笑)。

受験勉強で忙しい時期こそ気分転換は必要です。
音楽は脳の複数の部位に働きかけるので、短時間でも弾き続けるほうが成果が出ると思いますよ!

Profile

ヴァイオリニスト千住真理子
2歳半よりヴァイオリンを始める。全日本学生音楽コンクール小学生の部全国1位。NHK交響楽団と共演し12歳でデビュー。日本音楽コンクールに最年少15歳で優勝、レウカディア賞受賞。パガニーニ国際コンクールに最年少で入賞。慶應義塾大学卒業後、指揮者故ジュゼッペ・シノーポリに認められ、87年ロンドン、88年ローマデビュー。国内外での活躍はもちろん、文化大使派遣演奏家としてブラジル、チリ、ウルグアイ等で演奏会を行う。また、チャリティーコンサート等、社会活動にも関心を寄せている。
1993年文化庁「芸術作品賞」、1994年度村松賞、1995年モービル音楽賞奨励賞各賞受賞。
1999年2月、ニューヨーク・カーネギーホールのウェイル・リサイタルホールにて、ソロ・リサイタルを開き、大成功を収める。
2002年秋、ストラディヴァリウス「デュランティ」との運命的な出会いを果たし、話題となる。
2015年はデビュー40周年を迎え、1月にイザイ無伴奏ソナタ全曲「心の叫び」、2月にはバッハ無伴奏ソナタ&パルティータ全曲「平和への祈り」をリリース、両作品ともレコード芸術誌の特選盤に選ばれた。2016年は、300歳の愛器デュランティと共に奏でるアルバム「MARIKO plays MOZART」をリリース。またプラハ交響楽団、ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団と各地で共演。2017年はブラームス没後120年記念「ドラマティック・ブラームス」をリリース、また全国でスーク室内オーケストラとツアーを行い、好評を博した。
コンサート活動以外にも、講演会やラジオのパーソナリティを務めるなど、多岐に亘り活躍。著書は「聞いて、ヴァイオリンの詩」(時事通信社、文藝春秋社文春文庫)「歌って、ヴァイオリンの詩2」「ヴァイオリニストは音になる」(いずれも時事通信社)「ヴァイオリニスト 20の哲学」(ヤマハミュージックメディア)母との共著「母と娘の協奏曲」(時事通信社)「命の往復書簡2011~2013」(文藝春秋社)「千住家、母娘の往復書簡」(文藝春秋社文春文庫)など多数。
千住真理子オフィシャルサイト
ピアニスト横山幸雄
1990年ショパン国際コンクールにおいて歴代の日本人として最年少で入賞。文化庁芸術選奨文部大臣新人賞受賞。ショパン生誕200年を迎えた2010年に、ポーランド政府よりショパンの作品に対して特に顕著な芸術活動を行った世界で100名の芸術家に贈られる「ショパン・パスポート」を授与される。同年、「ショパン・ピアノ独奏曲全166曲コンサート」を行い、ギネス世界記録に認定され、翌年「212曲」を演奏して記録を更新した。
2015年、ラヴェル生誕140年を記念し、パリでラヴェルの全ピアノ独奏曲演奏会を開催。
2018年にはトランス・シベリア音楽祭ではムストネン指揮ノヴォシビルスク交響楽団との共演、ライプツィヒにてゲヴァントハウス弦楽四重奏団の定期公演、パデレフスキ協会の招きによりポーランド国内でのリサイタル、10月には上海フィル定期公演への登場、2019年3月にはルイージ指揮デンマーク国立交響楽団との共演など海外での活躍も多い。
国内ではゴールデンウィークの恒例、ショパン連続演奏会の他、2020年ベートーヴェン生誕250周年に向けてのシリーズ「ベートーヴェン・プラス」の開催や「4大ピアノ協奏曲」の一挙演奏といった意欲的な取り組みは注目を集め、高い評価を確立している。
リリースされたCDは、文化庁芸術祭レコード部門優秀賞、国際F.リスト賞レコードグランプリ最優秀賞等栄えある賞を受賞。「横山幸雄プレイエルによるショパン・ピアノ独奏曲全曲集」(全12タイトル/キングレコード)他、アールアンフィニ・レーベルより多数リリースし、レコード芸術誌では連続して特選盤となっている。
また、2018年8月に「横山幸雄/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番/他」(共演:下野竜也指揮/新日本フィル)をリリースし、また11月には「パデレフスキ:ピアノ名曲集(仮)」、12月には「横山幸雄/ドビュッシー:前奏曲第1集・第2集(全24曲)」を予定している。
東京と京都にレストランをオープンし音楽と旬の食をプロデュースするなど、活躍は多岐にわたる。
上野学園大学教授、エリザベト音楽大学客員教授、日本パデレフスキ協会会長。
横山幸雄 オフィシャルサイト

2018年10月本誌掲載

※掲載内容は、掲載時点での内容です。

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