ギターの心臓【ナット交換】

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ギターのパーツには構造上、消耗を避けられないパーツがいくつかあります。

その中でも著しく消耗の激しい物が【ナット】です。 

鉄や銅でできた弦を支えるナットは、牛骨や象牙、樹脂等比較的柔らかい素材で作られることが多く、押弦時やチョーキング、チューニング等の際に消耗していきます。

ナットの消耗によって起こる症状は様々で、

●開放弦でのビビリ●チューニングがずれやすい●押弦時の感覚にばらつきがある●音の伸びが悪くなる●アーミング時の顕著なピッチの狂いなど様々

ギターの弦を支える支点となるパーツですので、音に影響を与える部分も大きく、ギターの心臓部ともいえるパーツです。

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今回はTaylor 110の開放弦に異音が混ざるとのご相談。
チェックした結果3弦のナット溝が低くなっており、弦がフレットに干渉することで音に異音が混ざっていました。

元々付いているサドルはGraph Tech社のNuboneという樹脂材。

Taylor社は楽器のグレードによってナットやサドルの材質も、Nubone→Tusq→牛骨といったようにグレードが分かれています。

今回は音質の向上も含め、Taylor上位機種にも使われている定番の牛骨にてナットを作成致します。

切れ目

まずは既存のナットの取り外し。

ナットの取り外し方は楽器によって様々、このタイプのヘッドは指板側から板などをあてがい、ハンマーなどですこし叩きナットを取り外します。叩く前にはナットと指板、ヘッド表面の境目にしっかりと切れ目を入れるのを忘れないように、、、

極端に力を入れすぎるとヘッド表面の塗装を剥がしかねないので慎重に行ないます。

 

ナットスロット

外れた後はナットがはまっていたスロット、指板側面にこびりついた接着剤をノミややすりを使い除去していきます。  ナットの整形がいくら綺麗に仕上がっても、このスロットがきれいでないとしっかりと収まりません。

 

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楽器の種類によって角材の大きさも様々 

店頭で作業をしていると時々、「ナット下さい!」と尋ねられることがあるのですが、実はこのナットと言うパーツは成形、溝切りなどがされている出来合いの物がお手持ちの楽器にしっかりはまることはほとんどありません。

その為、角材から形を整え、一つ一つの楽器に合うよう作成します。

スタジオ練習、ライブ中等にぶつけて欠けてしまったり等、急に必要な場合等あるかと思いますが、大事なパーツの交換ですので、少しばかり入院させてあげてください。。。

ナット

ナットスロットに合うよう、削ってはあてがいを繰り返し成形していきます。

しっかりとはまるようになったら、ナット溝の底面に当たる部分を罫書き、それに合わせ上面の成形、ある程度の形が出来たら、ナットスロットに接着し、溝切り、上面の仕上げをします。

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 キズをやすりで細かくしていき、磨き上げればこの通り。ナットの出来上がりです。見た目も美しく仕上がりました。

 

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牛骨以外にも、ブラスナット、カーボンナット等も作成可能です。お悩みの方、是非ご相談くださいませ。

リペア担当 齋藤