宮地楽器総合TOP > ヤマハ 調音パネル > ユーザーレビュー


ルイ・レーリンク氏

いつもお世話になっている調律師さんがある日、不思議な白いボードをかかえてやって来ました。

「それは何ですか」と聞くと、「まあちょっと試してみてください」とボードをピアノの両脇に置きました。
ピアノの音色をよくするためのおまじない?などと思いつつ、私も新しいものを試すのが好きですから、そのままピアノを弾いてみることにしました。

まず中低音部のオクターブや和音をいくつか弾いてみると、明らかに違うのです!
それぞれの音の輪郭がはっきりと、しかも豊かに響きます。音たちがいつもより深いところまで行ってはね返って来るような感覚です。少々興奮した状態で今度はゆったりとメロディーの美しいバッハ編曲の小曲で試してみます。すると、フレーズの最後、音が延びるところの「うねり」が、いつもより広がりを持って、しかもはっきりと聴こえます。

そこで調律師さんはパネルをピアノの下(台の上ですが)に置き換えます。
すると今度は更にバスの厚みが何倍にも加わって、そう、ちょっとしたホールで上質なピアノを弾いているような響きです。メロディーを美しく際立たせるにはやはりボードを右側に置くと効果的。
「これはすごいな」と感心しながら、魅力的なバランスを求め、あれこれと遊び感覚でベストなパネルの位置を探す内に時間が過ぎて行きました。

「調音パネル」はもともと音をはっきりと拡張する為の装置とのことで、確かにボリューム感も増すようですが、どちらかと言えば空間を満たす「響き」に奥行きや広がりを与えているように感じられました。
音楽にとって、よい響きは欠かせない要素です。

このような明らかな響きの違いを感じるのは私だけかと、試しに生徒にも弾いてもらいましたが、秘密を明かす前に「なにかピアノの音色が変わりましたね」と即座に気がつきました。

また私が試したのはグランドピアノですが、きっとアップライトピアノの場合など更にその差がはっきりと聴こえるのではないでしょうか。パネルはちょっと素敵なアートのようにも見え、先日サロンコンサートの会場に持ち込んでみましたが周りのオブジェともしっくり馴染んでいました。
響きが豊かになったのも、もちろんのことです。

今は2枚のパネルが定位置に納まっていますが、位置を変えることで一台のピアノで微妙な響きの違いを創り出せるので、音楽的なヒントにもつながりそうです。
これからこの調音パネルを使って音楽の可能性を広げて行けるかも、と楽しみです。

ルイ・レーリンク

ルイ・レーリンク氏のプロフィール

オランダ、アムステルダム出身。7歳よりピアノを始め、15歳でアムステルダム・スヴェーリンク音楽院入学、18歳でオーケストラと初共演。
F・マインダス、D・デシェンヌ、日本でもマスタークラス等でお馴染みのW・ブロンズの各氏に師事。
音楽院卒業後はヨーロッパにてソロやアンサンブルの活動をするほか、アムステルダム市立教会ピアニストを務める。
1996年の来日後も九州交響楽団との共演、NHK、TBSテレビ出演、CD「ファイナルファンタジー・ピアノコレクションズ9」の演奏および楽譜監修、ピアノコンクール審査、また日本各地にて演奏・指導など活動の幅を広げつつある。2007年には日欄協会総会にて、秋篠宮両殿下ご臨席のもと演奏を行う。

全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)ホームページ上の連載「ルイのピアノ生活」にて隔週エッセーと演奏を公開中。( http://www.piano.or.jp ) 現在、洗足学園大学および高校音楽科非常勤講師。

【ホームページ】 http://www.pianonet.jp

ルイ・レーリンク氏